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『魚は痛みを感じるか?』

#1706

目を背けられてきた話題。

トロール漁などで海中から引き上げられた大量の魚が、窒息死するまで放置されているという現状。これが哺乳類なら抗議運動が起きかねないひどい扱い。にもかかわらず、なんとなく魚は例外的に扱われている。

 

子供のころ、魚は痛覚がないから釣り針を痛がっていない、ということを学校で聞いた。その数年後にニュースで、魚は釣り針で痛がっていると知り、先生も間違えるんだなぁ、と思った記憶がある。おそらくそのニュースの元ネタになった本。
著者は自分の実験結果が意図を超えて過剰に取り上げられてしまったため、本書内ではかなり言葉を選んでいる。

痛みを感じるとはどういうことか、刺激に対して反射的・機械的に反応しているわけでは無いことをどのように確かめるか。一歩ずつ慎重にロジックを組み立てる。

 

本書の主張は、魚も痛みを感じているのだから殺してはいけません、というものではなく、痛みを感じていることを考慮した新しいプロセスを検討すべきという意見。そのプロセスに対するコストはかかるけど、上手く設定すればWin-Winも狙える。
例えば、魚が苦痛を感じるような養殖方法だと品質・生産性が低下するので、魚の福祉に気を配れば高品質の魚が供給できるようになるのではないか、など。

スポーツフィッシングについても、食べるならともかく娯楽のために魚に苦痛を与えるのは悪いこと!ではなく、単純に禁止すると世間から魚に対する興味が薄れ、ひいては釣り場である水場の環境悪化につながる等の負の面も考えるべき。
物事は単純に白か黒かで語れない。

 

こういう話題で過激派が行きつくところは菜食主義だけど、植物も痛みを感じているなんて研究結果が出たらどうなるんだろう。

魚は痛みを感じるか?

魚は痛みを感じるか?