色々メモ

読んだ本のメモとか

『共食いの博物誌』

#1728

タイトル通り、共食いに関することはこれ一冊で網羅的に知れる。

 

序盤は昆虫・魚類・そのほか動物から恐竜・原始人まで、さまざまな動物種に見られる共食いのパターンと、その進化上の利点についての考察。

おたまじゃくしの例とか、複数の個体が集めた栄養素を一個体に集約することで種としての生存率が上がると考えると、理にかなった戦略に思える。

 

共食いすることのメリットがある、というケースが十分に示されて抵抗がなくなったところで、後半はいよいよ人間の共食いについて。

人間の場合、動物にみられるようなメリットが得られるケースが現代ではほとんどないので、もちろんこの本が共食いを勧めるものではないけど、それにしても現代社会は共食いに関する拒絶反応が異常に高いこととその文化的理由。いわゆる「人食い人種」というレッテルが悪用された暗い歴史等。

 

共食いについて誰かと会話したくなる本。

 

『三体 II』

#1726 #1727 

 

前編に引き続き、期待を裏切らない良作。


未来を描くSFの難点として、下手すると作中の技術について変なところで引っかかってしまうというリスクがある。本作は数百年というタイムスケールで進む内容にもかかわらず、作中の前提により技術進歩に制限がかけられているというのがうまい。現代の科学知識でも、このくらいならなんとか想像できる、という範囲に収まっている。

 

後半、人類のイケイケムードからの絶望というお約束の展開のあと、いったいどうするのかと思ったら見事に伏線回収して大団円。素晴らしい。

 

 前編

ynw-book.hatenablog.jp

『昔には帰れない』

#1725

SF短編集。

SFには、ちゃんと科学的に説明しようとするものと、フィクションとして設定の現実感なんて考えません、というタイプがあるけど、この本は完全に後者に振っている。

説明放棄している分、ぶっ飛んだ設定が多くて良い。

 

『ぴかぴかコインの湧きでる泉』とか、設定すらたいして説明せずに読者に読み取らせるスタイルで気に入った。

あと、『大河の千の岸辺』は意外な展開で好きかも。

 

『沈黙』

#1724

 読みながら「なんだこれ」って何度も思った。

SFネタとしてはよくある、ある日いきなりインフラが止まったらというテーマなんだけど、各登場人物の行動が謎すぎて理解が追い付かない。

現実離れした人物のしゃべり方とか。翻訳がおかしいのかとおもったらどうもそうではないらしい。

訳者あとがきもなんだか変なトーンだし、玄人向けの分野に不用意に入ってしまったのか。自分にはまだ早かった。

 

『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』

#1723
変わったタイトル、変わった内容。

数章読んで、小説の構造がわかると読みやすくなる。
一方の主人公の行動+相手からの通信のセットを、役割入れ替えて交互に進める形式。

特に通信部分の文体が独特。原文だと詩のようになっているらしい。
この辺りは和訳で読む限界を感じる。

時空横断ものらしく最後に回収する構成。肝心の時空横断と主人公の役割については
抽象的な表現が多く、詳細な説明があえて省かれている?ので、推測しながら雰囲気で楽しむ。

 

 

『スパイ的思考のススメ』

 #1722

めちゃくちゃ胡散臭いタイトル+ナショナルジオグラフィック社という異色の組み合わせ。

 

内容は想像してたより普通。心理術の本として読めばそれなりに楽しめる。

あと、間に挟まるスパイコラムがちょっと面白い。

欲を言えば、思考方法が箇条書きされることが多いので、もう少し具体例がほしかったかな。

 

『元彼の遺言状』

#1721

2021このミス大賞

 

正直主人公のキャラの立たせ方が苦手なタイプで、序盤キツかった。

とはいえ、さすがに大賞取るだけあって王道展開で、話の中で主人公がどうしてこうなったのかがわかって感情移入しやくすなるし、最後に成長も見られる黄金パターン。

 

ページ数のわりに登場人物が多いけど、キャラのつけ方がうまいので混乱せずちゃんと読めるのは凄いことかもしれない。

 

しかし、新薬の名前はアレで良かったのか・・・。